泣く

 

私は、泣いている。 

親にあれこれ求めるには 私は大きくなり過ぎた。

自分で頑張らなければ。 

親に抱かれるにはちょぴり大きくなった子供たちでさえ、あの手この手で自分の食欲を満足させているのだから・・・ 

私だけ・・・? 40を過ぎても親の愛を求めている。  

愛が欲しくて泣いている。

 

仕事の帰り 弟の家庭に立ち寄った。

お盆の時の忘れ物を届ける為だった。カワイイ甥っ子姪っ子に会いに行った。 

義妹は、パートに出掛けた後だった。 

食台の上には もう既に夕飯が並んであった。

そこにあるのは、どれも実家の母の手料理ばかり。 

コンロにかけてある鍋、それは母が二十数年使いこなしてある鍋。 

流しの中にあるタッパーも実家のもの・・・見てすぐわかる。

それらは私の家庭に来る事は無い。

実家に御呼ばれに行かない限りは口に入る事は無い。 

「ゆ○か 夏休みの宿題したん?又 ゆっくり来るけんね!」 

「ねえちゃん もう帰るんか?」

と弟の声を後に聞きながら

「たまには早く帰らなねぇ。」

と、車に乗り込んだ。

  

「お夕飯は 何にしようかな~」

と、買い物時に 四角い顔から 丸い顔に変わるけれど

私は今、どんな顔かな?三角の顔かしら!? 

ころころ転げることもできずに 壁に寄りかかることもできずに 立つのがやっと。 

そんな しけた顔して買い物をしていると なんとなんと上司に会った。 

「おい これ持って帰れ。」と スイカを持たせてくれた。 

我慢していた涙があふれそうだった。 

そうなのよ 私の家庭環境では補えないものを こうして自然と与えてくれるのよ。 

不思議ね。ありがたいわね。

  

今、私は泣いている。 

多くの方の親切も今の私には通用しない。やはり母でないとダメなのよ。

大声で泣けたらどんなにいいだろう 

長女が起きて来た。 

「母さん 目 赤いよ」

と、水を飲みながら言う。 

「今日は何でかしらん?目が痛いかい・・・」

胸がとっても苦しいのに今日は大粒の涙は出てこなかった。

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